飛鳥川 どんなに忌み嫌っても 関係が切れるわけもなく どんなにしきと思えども 関係が変わるわけでもないのに 向かはりに消ゆる火 あいだにあるは冷めた雰囲気 何も湧いてこない 何も思えない 何も感じない、何も・・・・ 自分はこんなにも情の薄い男だったのか――? お前がいなければ夜も日も明けぬ・・・・その思いは幻想だったのか・・・・? やっと掴んだ手は 思った以上に冷たくて・・・・・・ 今更ながら分かれた道は正しかったのか・・・・・・ 振り払った筈の感情が また、うごめき始める 感情の奔流を認めるわけにはいかぬ 認めてしまえば あとは、呑まれ 流されるだけ お互い、背負ったものが大きくなり過ぎて 気がついたら思うがままに動けなくなっていた 後には引けない だが 割り切ってしまえる程 私は強くないのだよ 本当は・・・・終わらせたかったわけじゃあない 噛み締めた唇から、広がる、味 夢見草が見せる昔日 繰り返してゆくうちに悟る それは最早苛なし記憶 もう責め苦に過ぎぬ 選択を前に身を知る雨が降る 春は ざわめき煌き静まることを知らない しかし いつからか憂鬱な季節となった 兆しと共に浮き上がる この情の正体は一体何だ? 麻痺した心が何かを拾う 最後に声を聞いたのはいつだったか もう一度名を呼んでくれ 嘗ての様に それが叶わぬなら 怨嗟の声でもいい 再び、・・・・再びお前が声を聞きたい この、鎌倉で――


--------------------------------------------------------------------------------  観応の擾乱辺りからの足利尊氏視点。